下関の水 おもしろ塾 ❹ 水にまつわる伝説 平家の一杯水
 おはなしは源平最後の決戦があったころです。
壇ノ浦の合戦で傷ついた平家の兵士ひとりがいました。その兵士は、のどの渇きに
耐えきれず、海辺で見つけた水たまりに口をつけてゴクリと飲んだそうです。
それはとてもおいしい真水でした。戦いの傷を忘れさせてくれる程のおいしい水で
した。 水のお蔭でしょう、息を吹き返し、あらためてもう一杯。と口をつけたとき、
それはもう潮辛い海水になっていたのです。そうして兵士はそのまま生命が尽きたと
いう。
 国道9号線前田の海岸沿い観光レストランそばに「平家の一杯水」と刻まれた石
碑があります。けっこう大きな碑ですから、見つけやすいと思います。
そこから浜へ、小さな階段を下りたところに小さな祠が建っています。
海峡の潮が満ちたとき、祠は潮のなかに隠れ。潮が引けば姿を現す湧き水がそこに
あること。いまも語り継がれる海峡の物語りのひとつです。
 毎年一月一日。赤間神宮の歳旦祭のために、この故事にちなんだ若水神事「平家
一杯水の奉納神事」が行われています。大晦日、12月31日の晩、神宮からその祠
へむかい、神職二人と褌姿の青年が幟と提灯を持ち、しめ縄を張った桶をさげて水
を汲み、元旦午前零時に奉納されるそうです。
下関の水おもしろ塾コラム 浅井仁志
参考文献/ 下関市水道百年史
 
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