下関の水 おもしろ塾❷ 水にまつわる伝説 御影・姿見の井戸
 長府観光会館から壇具川に沿って功山寺のほうへしばらく歩く。
道の左手を流れていた川が、右へ流れをかえる、ちょうどそのあたりの右手、個人
家のブロック塀を背にして案内板がたっています。うっかりすると見逃すかもしれ
ません。そこには
「菅原道真公 御影の井戸」ご自由にご覧下さい と認めてある 。
案内にしたがって右折。ほんの20メートルほど進んだところに、和瓦の屋根をい
ただいた「御影の井戸」に行きあたる。
説明板は、井戸について次のようにつたえています。()内は筆者。

 菅原道真公が都(みやこ)から太宰府に流される途中、忌宮神社の大宮司家に立
寄り、泊まられたときのことです。
ここ長府(当時は豊浦の津と称した)での休養も終え、明日は出発という日、勧学
院に入り院内の庭にある井戸に自分の姿を映してご覧になりました。
そうすると、ひどく淋しい気持ちになってきて、水にうつったご自分の顔に向かい、
「都を離れてすでに百日以上になる、ずいぶんやつれた顔になったな、しかし、も
う二度とこの土地にくることはなし、この井戸で私の顔をみることもあるまい」と
筆と紙をとり出し、自画像を描かれたそうです。
そのご、道真公は太宰府にて亡くなられましたが、道真公がのぞかれた井戸は「御
影の井戸」と呼ばれ、この井戸をのぞいたものは、目がつぶれるという言い伝え
が残っているのです。
井戸も、歌人の手にかかれば現を映す自然の手鏡となります。
こうして姿見井戸は人々の暮らしのそばに寄り添いながら、千百年の歳月をかさ
ねていました。
下関の水おもしろ塾コラム 浅井仁志
参考文献/ 下関市水道百年史
 
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